社会人になり定期的な収入が確保できるようになり経済的にも時間的にも比較的自由な時間がとれる独身時代。その独身時代のすごし方でその人の方向性が決まる最後の青春時代ともいえる結婚するまでの二十代の時期。自分は何をしていたか。
もう十数年前になるその大切な独身時代は給料のほとんどをもうバカみたいにレコードとオーディオ機器の購入にあてていたような気がする。そんなのは自分の思い込みだけで、実際はそうでもないのではと自分の中で否定したい気持ちももちろんあるが、証拠のように現にたくさんのレコードは残っている。約2000枚。思い返すと一番買っていた年は年に400枚くらい手に入れていた。月に50枚以上購入を二ヶ月続けたこともある。この数字が多いのか少ないのか。マニア的には決して多い数字ではないのは確かではあるが一般人から見たらオマエも十分マニアだろ!と糾弾される数字であるのは確かである。こんなにたくさんあってホントに全部聴くのか?ともよく言われるが、すべての把握は困難になりつつあるもののそれでもこのレコードは確かどこどこの店で購入したとか漠然と記憶に残っている。中古レコード屋で渉猟しているときも一瞬の判断でこれは持っている、持っていないと判断する。その時間はコンマ何秒。仕事の覚えは悪いのにこれだけは・・。さすがにつれあいができてからは周囲の目が怖くて中々思い通りに手に入れることはかなわなくなったが、いまだに欲しいレコード、音源はたくさんある。少ないこづかいの中でやりくりしながらいいレコードお手にいれるためにはどうするかが最近のテーマでもある。量より質の選択である。
O邸での試聴会の翌日、隣県まで遠征。往復約300キロ、車一台に総勢6人での訪問。
訪問先はオーディオ界でもジャズ界でも有名なK氏宅。
オリジナル盤の収集家にしてジャズ評論も書かれる秀才にして、オーディオ装置でも早々とアヴァンギャルドを導入し、雑誌でも何度か取り上げられ、某オーディオ雑誌では高名なオーディオマニアの吉祥寺の喫茶店主が絶賛した話題の方。
普段は自分の愛聴盤をを進んで持っていきそうな猛者も今回ばかりはブルって誰も持っていかない。仕方なく玉砕覚悟で自分だけが持っていく。選択には苦労した。正直心許ない。
街の中心部であるのが信じられないくらい閑静なK氏宅、というかお寺である。京都の寺と見まごうばかりの良く管理された庭、成長した苔が歴史を感じさせる。玄関脇には御駕籠。お香のいい香りの中をすり抜けて二階のオーディオ室(ルームじゃない雰囲気?)に案内された。
部屋は決して広くはない、本間の八畳くらいか。そこに鎮座いたしますブルーカラーのアヴァンギャルド。不思議と部屋になぜかしっくり合っている。SPの中央のパワーアンプがまたデカい。ウチでは一番デカいマッキン2600の2倍近くありそう。ヨーロッパ製らしい、でもなぜか知らないブランド(最近ステサン見ないし!)。
システムはアナログ主体でAPはノッティンガムとオラクル、グラハムとなんだかよく知らない(何度も言うが最近ステサン見ないし!)超高価なアーム、カートはモノはマイソニックラボのエミネント・ソロとステレオはライラのタイタンという超高級クラス(ステサン見ないといえどもさすがにこの辺は名前だけは知っているw)、それをウン百マン(実際値段知らないw)のフォノイコ、ラインともコニサーで鳴らすという布陣。デジタル音源はコードだった。
はたして音はどうか?
一同、黙っている。
まー素晴らしくないはずがない。ブン殴られるくらいの迫力?があるわけではないが。細かな音を旨く整理して個々のパーツを丹念に積み上げたような音。べらぼうに完成度が高い。
聞けば電源は200ボルトからステップダウンして使用し、ステップダウントランスも高級なパワーアンプみたいな佇まいで迫力がある。
ジャズとヴォーカルに限定して聴いたがこのシステムならば何も手を加えずともクラシックもうまく鳴りそうである。あらゆる音源に対してオールマイティに鳴らせそうな気がする。
正直言葉ではなかなか伝わりにくい。システム自体もの凄いハイエンドな世界なんだけど、ハイエンドにありがちなただ金持ちが金にあかしてバカ高い機種かき集めました、というシステムではなく、好きな音楽聴くために好きな音の延長線上で突き詰めていったらここまで来ましたというような音の世界でした。曖昧な部分をすこしずつ丹念に埋めていった感じというか。
もう一点言うとベストなリスニングポジションは極端にピンポイントでした。ちょっとずれるだけで低音が若干希薄に聞こえるような。ただしこれは部屋の広さとSPの性格から致し方ないのかも。
試聴はかの吉祥寺の喫茶店主が驚愕し絶賛したというズート・シムズのテナーソロから始まった。持ち込みレコードの試聴(やはり畏れ多かった、ほとんど所有しすぐ取り出せる状況)CDとレコードの音の違い、カートの交換での音の違い、普通屋内家庭電源と200ボルトステップダウン電源の音の違い、33回転と45回転の音の違い、等いろいろ実験的なこともやってくれました。非常に参考になりました。音には関係ないが途中出して頂いたつまみやゼリーもとてもおいしかったです。
すべてにわたって洗練されておりました。氏の人格を感じます。
全体を通して特に印象に残ったのはK氏がとてもアナログレコードを愛しているということ、またジャズという音楽文化を担う覚悟でとても真摯に接していること、その結果としての現システムの構築ということでした。K氏に買われたレコードはとても幸せだろうと思いました。
その後K氏の案内でみんなでラーメンを食べに行き(かの地は有名なラーメン地帯)地元の老舗ジャズ喫茶にも行きと、とても大満足の一日でした。忙しい中貴重なお時間に最後までつきあって下さったK氏には本当に感謝致します。この場で言うのも変ですが本当に有り難うございました。
こちらに来られた時は・・・うーん相当精進しないとこのままだと恥ずかしい・・・。



金曜日にいつものO邸で試聴会。
試聴の目的はジャーマンフィジックのトロバドール(?)。
最後まで名前はよくわからなかった。
なんたって150マンもする代物。
ふつうじゃ中々買えないし、聴く機会も持たないだろうってことで購入者K氏の特別のご厚意でK氏の自宅に持ち帰る前に試聴となった。
形はほとんど金属でできたきのこ。振動部はチタンでできているらしい。
強いて言うとツィーターになるのか?
JBLの4333の上に置いて、最初低音はは4333の2235(2231ではない、現在換装中)のみで中高音はトロバドールと言う組み合わせで聴いたが、下は290から出るらしい。
聴いた感想。一言でいうと不思議な音。構造上音が部屋全体に拡散するように拡がるので奥行きがでるが、いわゆる音場型のSPとは違う音の出方。
SPのすぐ後ろに行ってもおんなじ様に聴こえる。
調整で激しく音が変わりそう。遊べるのは間違いない。ジャズでの使いこなしは難しそうだ。