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いよいよ「ベイシー」である。
思えばジャズ喫茶「ベイシー」の名を最初に知ったのはいつだろうか。
たぶん、ジャズを聴き始めて最初にスイングジャーナル誌を買っていた頃、漠然と東北の方にある有名なジャズ喫茶として最後の方の広告で見ていたような・・・。
店の概要を初めて知ったのは地元のジャズ喫茶に置いてあった「ステレオサウンド」の何号かに巻頭のスーパーマニアの記事で初めて「ベイシー」と店主の菅原さんを見たような気がする。(後で調べたら」「ステレオサウンド」の73号、1985WINTER号だった。今見ると菅原さんが若い!)
その時に確かpon氏がいっしょで(あー、ちなみにpon氏とワタシは30年以上のつきあいである)、当時ジャズ喫茶の多かった京都の大学生であり、ジャズ喫茶に関する情報も多かったpon氏の言葉で「このジャズ喫茶が何でも日本で一番音がイイらしいぞ!」的なことを言われたことがあったと思う。
その記事の中で、メインのカートリッジがシュアのV15のタイプⅢで、年間200個の換え針を買ったこともあるという内容に単純に驚いた印象が残っている。
その後「ジャズ喫茶ベイシーの選択」(ぼくとジムランの酒とバラの日々)を手に入れて読んでみて、その豪快かつ神経質、半端ない”モノに対しての拘り方”に世の中こんな凄いヒトがいるんだ、ととても感心した。
思えばその時に、当然、「漠然と行ってみたい」という感覚から、「いつかは絶対にベイシー行くぞ!」、と心境が変わったのであった。
今回、やっと実現できたことになる。
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店の前の駐車場には例によって店主の濃紺のキャデラックが置いてあった。
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入り口はドアを二つ抜けて入っていく。確かこの二つのドアの距離も微妙に計算されているということだったはず。(ドアを押した時のスピーカーに対するエアというか、風圧の影響を極力排除するため?と何かで読んだ。)
店内に入ると、いきなり大音量。
鳴っていたのはレイ・ブライアントの「ゴールデン・イアリングス」。
大音量の中、窓のない薄暗い空間に写真で何度も見ておなじみの光景がそこにあった。
中央に鎮座するJBLのダブルウーファーシステム。
スピーカーの前にはドラムセットがあり、その横にはグランドピアノ。
入り口から右手のグランドピアノ側の方はバーカウンター風になっており、その一番手前側にガラスで隔てた空間ににレイのキャビネットレスのLP12やJBLのやアンプが鎮座している。
バーカウンターの後ろは全てレコードであった。ざっと見ても数万枚!
レコード室の前の丸テーブルに店主の菅原さんが座っていた。周りが原稿だらけ。思えばここで「ステサン」の記事「聴く鏡」を執筆されたんだと思った。
なんか威圧する雰囲気がある。ちょっと恐くて声かけづらそう。
とりあえず黒椅子にすわり音を聴く。
座った場所は最初は中段の席、その後2.3分で一番後ろの野口久光コレクションの」前の席に移る。

いやー、激しい音である。凄い中低音である、素晴らしい!
とんでもない大音量でもある。
最もジャズらしい音でもあるが、この音だとクラシックでも上手く鳴るだろう。

最初に店内に入って「ゴールデン・・・」を聴いた時の印象は中低音が張り出した音で、そう、今まで聴いた音のうちでは、熊本の「音○舎」の音にに一番近くて、wooさんとは思わず「あそこと同じじゃないか!」的な言葉を交わしていた。
ところがもっと注意深く聴いていくと、やはりもっと激しい音というか、突き抜けてるというか・・・。
かの「ステレオサウンド」の菅原さんの記事の中に「オーディオマニアは低音をできるだけ締める方向に苦労し、JBLも放っておくと低音は締まりがちの低音になってしまうが、自分は低音を”締める”のではなく、出来るだけ”緩める”のに苦労している・・」という言葉があったと思うが、ここのJBLの音はユニットの性能を”抑える”ことなく”最大限に発揮”させた上で全体のバランスをとっていくという、ややもすると「抑える」ことから始まるようなチマチマした現代家庭オーディオのアプローチとは明らかに違うやり方なんだとすぐに理解した。
ウーファーユニット(2220Bだっけ?)の性能をフルに出すために、性能のいい部分も悪い部分もすべて吐き出させたるために、性能を最大限に発揮できるための箱に入れ、それに見合った最高のドライバー375と最大のホーンも持ってきて、JBLのユニットに最も相性のいいJBLのアンプをフルに鳴らし込んでいくという考え方。まあいろいろと制約の多い家庭オーデイオではちょっとムリなやり方ではある。
”すべてを淀みなく出す”ってことはJBLの持つある種の雑味も”隠さず”に出すということで、よくよく聴いていると耳に不快な”キツイ音”まで平気で出ていることがよくわかる。
ここのスタイルとして優秀録音盤や特定の盤だけ聴くのではなくて、平凡な録音、劣悪な録音盤、すべてのレコードの性能を受け止め安定的にコンスタントに出して、なにがしか”楽しめる音”まで持っていこうとする方向性を感じました。

その後、wooさんに呼ばれて席を中段の中央の席に移動。(あまり席を変えるのは迷惑行為でマナー違反ですが・・・)
この席で聴くと、
いやー圧倒されました。
まさに”牙をむく”というか、圧力に負けて吹き飛ばされそう(オマエは絶対に吹き飛ばされないだろうという外野の声も聞こえるが・・・)になりましたもん。
ベニーカーターのライブのレコードをかけたときで、音があまりに生々しくて、なんか目瞑って聴いていたら一瞬ライブ会場にいるような錯覚がありました。
スピーカーは前に2個しかないはずなのに拍手とか明らかに自分の背後の上空あたりに感じたし、ベースが自分の斜め前方数メートルの位置(スピーカーより明らかに外側にある!)にリアルに感じました。
それにしてもこんな音を毎日何時間も、通算30年以上も出していたなんて、やはり”化け物”の世界の音なんだと痛感させられました。
確か菅原さんが夜中にうつらうつらコルトレーン聴いていたら、亡くなったコルトレーン本人が目前に下りてきて何か会話したとか、しないとかの記述があったけど、こんな音を深夜中聴き続けたら、そんなこともあるだろう、と妙に納得した。

その後、hanamusi氏がなぜか店主に呼び止められ、奥の原稿執筆場である丸テーブルでなにやら昔からの友人のように談笑してました。
たまたまワタシもトイレに行きたくなり、カウンター奥のトイレに行こうとしたらすでに先客がいて待っていたら、店主から呼び止められ、「まあ、ここに座れ!」と言われて、”菅原さんと話ができる”と割とミーハー的に喜びがこみ上げ、当然断るはずもなく、ウキウキと丸テーブルの椅子に座らせていただきました。
まあ九州からわざわざ来た、ということで、店主が心遣いしてくれたということだと思います。
若干の世間話をしていましたら、とうとう堰切ったように待ちきれなかった他の町内会面々も呼ばれて全員嬉々として丸テーブルにつく。みんな嬉しそう。
そこでオーディオ談義したり、執筆中の原稿見せてもらったり、ケイコ・リーの自筆のお手紙見せてくれたり、外見の取っつきにくさとは裏腹に、実に気さくで率直な人柄の方でした。
威張るようなことは一切なくて、物言いが思慮深くて含蓄を含んだ言葉で、この人自身が魅力的でいろいろなセレブなヒトたちを引き寄せるんだと納得しました。ちなみにpon氏のA4システム導入時の写真見せたら興味深そうにしていました。
「聴く鏡」を購入し、サインを頂くことに。
調子に乗ったワタシらは写真を撮っていいかを確認して、”店主の許可を得てから”店内の写真を撮らせて頂きました。

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カウント・ベイシー本人も弾いたであろうピアノ。
というか、このピアノで一体過去どれだけのビッグネームが弾いたのかを考えたら・・・溜息出ます。

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サイン中の店主 菅原さん。
この丸テーブルも考えたらエルビン・ジョーンズとか訪日したジャズのビッグネーム、JBLの社長とかスガーノさんとか、文化人では阿佐田哲也とか永六輔とか・・考えたらもの凄いメンツがここでジャズ聴きながら店主と談笑していたんだろうなあと思った。
この席で聴くと「激しさ」が和らぎ、なぜか凄く聴きやすくなる。
この席で聴いたビリー・ホリデイは素晴らしく良かった。

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このレコード室は配線があるのでちょっとマズイと後で注意される。あーあ。

話をしているときにレコードが終わり、”レコードをかける様を”みせてもらいましたが、流れるようにスムーズでカッコ良かったです。
考えたら毎日数十枚のレコードをかけて、そういう日々を三十年以上絶え間なく連続してやっている、ってことは凄い。
一体今まで何万回レコードをかけたのだろうか。
レコードをかけるのはどんなに忙しかろうと必ず店主本人がやるようです。
このあたりにいくらセレブになろうともジャズ喫茶の本分は忘れない菅原さんの基本スタンスというかポリシーを感じます。

最後に菅原さんは出血大サービスで店の前で記念写真まで撮らしてくれました。
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この”微笑み”を見ると菅原さんもけっこう面白かったのかも。
<続く>
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